視覚特性を利用した画像の保護

ディスプレイでの色の表示方法

私たちが日常的に使うパソコンやスマートフォンなどの画面では、様々な色を表示することができます。
しかし、それらの色は、実際は光の三原色である赤・緑・青の3種類の光のみを用いて表現しており、出力させる光の割合を変えることで様々な色を表現できます。

このような色の混ぜ方を、加法混色と呼びます。加法混色には、以下に示す同時加法混色、並置加法混色、そして継時加法混色の3種類の方法があります。

このうち継時加法混色は、色を高速に切り替えることで混ざった色を知覚させる方法です。
例えば、赤色と青色の2色に塗られたコマを高速で回転させると、本来は赤色と青色が交互に見えるはずが、回転が速すぎてヒトの眼には紫色として知覚されます。
継時加法混色は、コンピュータの画面上で色を表示する際にも適用できます。コンピュータ画面は高速に画面が更新されるため(1秒間あたり60回など)行っているため、2つの色を交互に表示することで目的の色を知覚させることができます。

景山・石沢研究室では、画像の保護を目的として、ヒトの視覚特性の中でも継時加法混色をインターネットの画像の保護に利用する研究を行っています。

インターネットのしくみと画像コピー

画像などのデータは、インターネットを経由して、公開元のコンピュータから閲覧者のパソコンやスマートフォンへ自動的に送信されます。

このため、閲覧者は見ている画像をコピーすることができるようになっています。

事例1 画像のコピー防止

経時加法混色による画像表示を行うことで、ヒトの眼には本来の色の画像に見えるものの、画像のコピーを行ったときに異なる色の画像が取得されます。

事例2 画像の著作権表示

また、透かし文字を入れた画像を用いて継時加法混色による画像表示を行うことで、ヒトの眼には本来の画像に見えるものの、画像のコピーを試みるとコンピュータには透かし文字が入った画像を保存させることができます。